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鈴木敏恵とフィンランドの若者の対話(3)「プロジェクト学習について」課題解決力 言語活動の充実 鈴木敏恵

 講演 鈴木敏恵/フィンランド教科書展示

2012年8月18日 「未来教育プロジェクト2012 講演会」



クロスカリキュラム/図画工作と国語

【タイトル】 未来教育プロジェクト(3)「プロジェクト学習について」

【収録】2011年6月18日収録動画。<鈴木敏恵とフィンランドの若者ユリウスの対話>

 

【協力】 動画撮影・リライト:藤井基博/編集ほか:金野稔/写真撮影ほか:加藤由美


【キーワード】
新学習指導要領 言語活動の充実  知的に知識や情報を構築する 正解はな
い 知の再構築 エビデンス クリティカルシンキング メディアリテラシ  OECD PISA 学力 フィンランド教育 ロジカルシンキング 課題解決力 活用力 

【説明】
鈴木敏恵とフィンランドの若者ユリウスの対話:20110618収録
この動画は、意志ある学びの実現を願い、新しい時代の新しい教育の創造と実践に貢献することを目的としています。by  シンクタンク未来教育。

【リライト】

S) ユリウス君は、プロジェクト学習をフィンランドでやったけいけんはありますか?


Y) あります。中学校3年生のときに、先生がこういうプロジェクトをだしました。ふつうのアルミ缶から、数学的な面と、物理学的な面と、経済的な面を調べて、まとめることでした。正確には、数学のプロジェクトだったのですが、(アルミ缶1つとっても)社会的な内容もあるし、物理学的な内容もあるし、いろいろな分野の(知識を)使えて、おもしいなー、と思いました。


S) インテグレート(統合)して、数学は数学だけ、経済は経済だけではなく。

たとえば、物理でいうと、このアルミ缶の素材とか・・・?


Y) そうです、アルミの化学的な点から、どうしてアルミを使うのか、どうして鉄を使わないのか。どうして、アルミ缶がその形で、どうしてもっと高くないか、どうしてもっと太くないか


S) 円筒形なら数学だし、社会的には流通とか?


Y) そうです。アルミはどこからもらいますか?、アルミのリサイクルはできますか?、どうできますか?、などのことを調べました。


S) それは、論文みたいな形でだすの?


Y) そうです。基礎研究のようにまとめて、先生にだします。


S) 制限があるわけですね。そうすると大事なことは、そのなかに入っていないといけないですよね。量がたくさんあっては、だめということですよね。そして、先生は、それをどう評価するのでしょう?


Y) 評価は、まず、

・書いてあることが、正しいか。

 たとえば、数式が誤っていたら、減点になるでしょう。
・わかりやすく書いてあるか  読んでみて、何の意味か先生がわからなかったら、減点でしょう。

 

S) わかりやすいということは、ロジカルシンキングというか、話の組み立てが、理解しやすいとか?

 

Y) そうです。たとえば、はじめは「アルミは、どこからきますか?」そして、「リサイクルの方法」。これが、逆だとおかしいですよね。まず、手に入れて、捨てて、リサイクルするのが順番でしょう。

 

S) なるほど、おもしろいね。だから、テキストのチェックではなくて、知的に知識や情報を構築する必要がありますよね。そして、それはたんに調べたことではなくて、クラス中がそのテーマでやったとしても、一人ひとりマイテーマはちがうわけですよね。アルミ缶の「何」について?

 

 

Y) 研究の結果がどういう形で書かれるか、人によってちがうと思います。

 

S) 全員違うものね。そして、コンピュータや新聞をみたり、このアルミ缶だけを見て、書けるわけではない。

 

Y) そうです。インターネットを使ったり、実際のアルミ缶を持ってみたりします。

 

S) こうやって、見たり、さわったり、たたいたり、リサイクルの印がついているな、とか生活のなかで、とかね。何かを学んだり、何かを追求したり、プロジェクトって、無から有を生みだすようなところがあるわけじゃないそして、正解があるわけじゃない

 

Y) そうです。プロジェクトというのは、実は、向き不向きがあります。最初は、暗くて、どうしたらいいのかなっと思って、どんどんプロジェクトを進めて、いろいろ情報を集めて、そのすべてを組み合わせて研究とか解決とかその人の(テーマに)なっていくでしょう

 

S) すごいね。これ1つは、ただのアルミ缶じゃないですか。これ「アルミ缶」だけじゃ、目標にならないよね。どういうのが、具体的に目標なの?

 

 

Y) それは、たとえば、さきほどのテーマなら、アルミ缶の経済的な、数学的な、物理学的な場面を研究してまとめなさいということでした。

 

S) 目標も自分で考えるし、そこまでのプロセスもだんだんと情報や考えたりしながら、明らかになっていく。最後に、まとめるというのも、たんに長い文書をまとめるのではないんでしょ。

 

Y) この研究のいちばん大切なことは何か。そういうまとめですね。

 

S) プロジェクト学習は、自分をもっていないとできないじゃないですか。それは、自分の考えをもっていないと、できない。先生のいうことを従順に聞くだけじゃ、なかなか、、えー、どうしたらいいの? このアルミ缶? 先生、わたし、何したらいいの?ってなってしまう。

 

Y) そうです。先生に教えてもらっているだけではなくて、自分で習う必要があります。習うことは、自分の責任です。先生がただの指導者です。

 

S) このプロジェクト学習における8枚のアウトカムは、このなかに情報の根拠みたいなことはないの?

 

Y) 出典のことですね。出典がないと、ふつうは0点になります。

 

S) 内容がすべてよくても、出典がないと、0点になっちゃうんだ!

 

Y) 自分で書いた評価なら、出典はなくてもいいのですけれど、科学的な研究だと、出典がないとこれは、どこからとったのか、わからないからやりなおしをしてください。と、ぜったいにいわれます。

 

S) プロジェクト学習は、ある意味、社会的な学習。だから、科学的であり、社会的であり、いつどこで、それが起きたのか、必ずそれを添えないと、ロジカルシンキングもすべてが、はじまらないし、崩壊してしまう。だから、ユリウス君と話すと、いつも「わたしは、こう思います。なぜならば・・・」と必ず根拠、エビデンスをお話するので、クリティカルシンキングや、メディアリテラシーなど、フィンランドの教育の成果かな、といつも感じています。

 

||||||||||||||||||||||||||【 関連 情報 】 ||||||||||||||||||||||||||||

■ 講演 鈴木敏恵/フィンランド教科書展示

2012年8月18日 「未来教育プロジェクト2012 講演会」

■ 書籍

『プロジェクト学習の基本と手法―課題解決力と論理的思考力が身につく』(抜粋ページ)184~187P

■ web
フィンランドのユリウスさんと日本の先生たちとの交流 鈴木敏恵
フィンランドのマリッカさんに聞くプロジェクト学習 鈴木敏恵


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