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新刊N 連載3 :成長できる組織」が 学生にも社会にも選ばれる   /   ポートフォリオ教育・ プロジェクト学習   鈴木

(ポートフォリオ活用とプロジェクト学習を統合し意志ある学び未来教育を提唱する第一人者 鈴木敏恵氏と3人のトップに教育のあり方について語っていただきました。)


鈴木 こうして伺っていても、組織における教育や人材育成には、その組織のトップの人に明確なビジョンや哲学が要る、ということがはっきりわかります。研修内容も大事ですが、組織のスタッフたち全員が「なんために研修するのか」、「組織における教育の目的は何か」ここの明確さを合意することの必要性を感じます。

病院など医療機関は、その組織における研修も目標管理も、単に業務の効率アップ、生産性向上とか、クレームを減らすなどへの課題解決の手段とは違うと思います。そこで働く、一人ひとりが生きがいを感じ、「人間として成長する」ためにあるという信念がいる、クリニカルラダーのプログラムにもこの視点が欠かせないとあらためて思いました。

組織の教育デザインをする際には、もう一つ大事なのが、今という時代をとらえ、これから社会はどうなのか、人間は何を目指して生きるのか、未来の方向を見ることがいる、ということです、AIの時代が到来するからです。

AIやロボットが最も代替えできない仕事の筆頭が看護師の仕事と言えるでしょう。AIはビッグデータをすさまじい能力で分析し兆候の発見や高度な推測をしますが、医療のすべてのことをテクノロジーで代替できることはありません。一人ひとり異なる人生を生きてきた患者さんに応じ、尊厳あるケアや言葉がけ、タッチングなど、看護の本質はエビデンスに基づきながらも極めて人間的な振る舞いを伴うものだからです。


 意味を考えずにできてしまえる仕事はAIがするようになるでしょう。しかし 看護や教育など対人(ひと)の仕事は、一つ一つの振る舞いや言葉に意味や意図があります。人の心やその背景にある状況への想像力、自体を解決し課題解決のアイディアを現実に移す、創造力や行動力などを重視する教育へより変わらなければならないと思います。人間の領域、つまり自分が関心を持ち、なぜか心惹かれる分野でこそ、それぞれの資質が発揮されるのですね。


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鈴木敏恵 すずき・としえシンクタンク未来教育ビジョン代表、教育デザイナー(Architect/設計思想)。一級建築士。「意志ある学び―未来教育」をコンセプトに、プロジェクト学習、ポートフォリオ、対話コーチングなどを融合させた次世代教育の設計思想から実施を全国展開。主に教育界、医学界へ新人教育、指導者育成、教育構想のコンサルティングを行う。公職歴に内閣府中央防災会議専門委員、千葉大学教育学部特命教授ほか。主な著書に『AI時代の教育と評価』(教育出版.2017)、『アクティブラーニングをこえた看護教育を実現する』(医学書院.2017)、『キャリアストーリーをポートフォリオで実現する』(日本看護協会出版会.2015)など。http://suzuki-toshie.net/profile/

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