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AI は過去から今日を生き、人は未来から今日を生きる     鈴木敏恵

 教育でいちばん大切なもの

 

〜AI は過去から今日を生き、人は未来から今日を生きる〜

 

現実のあらゆるシーンは、似ているようでも、みな違います。

つねに新しくなっていて、ただのひとつも1秒前と同じ状況は存在しません。

 

この世界のライフログ化がもう始まっている

 しかし世界の隅々にAI やIot やロボットが日常化されたなら、その高度なカメラやセンサーの機能で、あ

らゆるできごとやシーンは人のライフログのように、どこかに記憶され、累積され、自動的にこの世のライ

フログになる。何か異常事態や問題が発生したらもちろんそれもデータ化され、どこかに記憶される。人間

がいちいち設定や操作をしなくとも、AI の自己学習機能がそれを果たす。新しい何かが発生したとき、過去

の経験でその多くは対処できます。器用で感情もあるかのようなAI ロボットが現地へ自ら行き解決する日

も来るかもしれません。そして、ディープラーニング…。そのとき、AI 自身がそのできごとと対応するアル

ゴリズムを自己プログラム化して、感知、関与した目の前の状況や過程を自己学習するだけでなく他の存在

と瞬時に情報共有して、(人間とはまったく比較できない)爆発的な進化をし続ける未来がすでに見えてい

ます。

 

「自己学習」と「情報共有」は到底かなわない、でも…

 人間はAI ほど過去や現在から完璧に自己学習することはできません。ネットでつながれたIot デジタルディ

バイスのように完璧な情報共有もできません。しかし不完全さや不備があったとしても、私たち人間には、

未来を描く力があります。ワクワクと夢見て生きる喜び、ありありと心のスクリーンにビジョンを描き、そ

こへ歩き出す力も備えています。誰にプログラムされなくても持っています。知性や精神が悠久のときを超え、

未来を希求し続けるために、DNA のどこかにデザインされているのかもしれません。未来を描けるビジョン

力を私たちはみな備えている、この厳然たる事実が私たちにAI 時代を怖れるなと希望を与えてくれます。

 

大切なのは、未来を夢見る力と一人ひとりの違い

 ここから教育の普遍性、真理が見えます。コンピテンシーも時代が求めるスキルや、システマティックな

課題解決力も大事ですが、いちばん大切なのは、未来を夢見る力だということです。若者たちが教育で合理

性やソリューション(課題解決力)を修得できたとしても、未来へビジョンを描くことを忘れたならば、そ

こに私たち人間の未来はないでしょう。…この世界に二人と同じ人はいません。みな完璧にユニークです。

違いがある者同士が描いた未来を語り合うことで人間は心満ち人間として進化する……という洒落たプログ

ラムを神様は私たち人間にそっと書き込んだのかもしれません。

 

 

著作『AI時代の教育と評価』130Pより

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